2025年夏に流行している『NB.1.8.1[ニンバス(Nimbus)]』をわかりやすく解説

目次

  1. NB.1.8.1(ニンバス)ってなに?
  2. どこから来たの?(かんたんな系統の話)
  3. 世界ではどれくらい広がっているの?
  4. 日本ではどう?
  5. 症状はこれまでと違うの?
  6. 重症化しやすいの?
  7. どうして広がりやすいの?(感染しやすさの理由)
  8. ワクチンは効くの?
  9. 治療薬は効くの?(パキロビッドパックなど)
  10. 検査はちゃんと見つけられる?
  11. 図とグラフで理解しよう
  12. ふだんの生活で気をつけること
  13. まとめ

NB.1.8.1(ニンバス)ってなに?

NB.1.8.1(読み方:エヌビー・イチ・ハチ・イチ)は、新型コロナウイルス(SARS‑CoV‑2)のオミクロン株から生まれた新しい「子ども(サブライン)」です。研究者のあいだでは「Nimbus(ニンバス)」というニックネームでも呼ばれます。

Nimbusというニックネームはカナダの進化生物学者であるT. Ryan Gregory教授によって提唱されました。ラテン語の「雨雲」を意味する言葉です。ハリー・ポッターに登場するホウキの名前としても知られています。「NB.1.8.1」という変異株の名称の一部であるNBに関連づけて(覚えやすいように?)、Nimbusと名付けたという説もあります。

世界保健機関(WHO)は、2025年5月にNB.1.8.1を「監視下の変異株(VUM)」として注目しはじめました。これは「要注意だけど、いまのところ大きな脅威とは判断していない」という意味です。World Health Organization / Gavi

どこから来たの?(かんたんな系統の話)

ウイルスは増えるときに、たまに遺伝子が入れ替わる「組換え」が起こります。NB.1.8.1は、オミクロン系統の組換え「XDV」の子孫(XDV.1.5.1→NB.1.8.1)で、オミクロンの一種「JN.1」に近いグループに入ります。むずかしく聞こえるかもしれませんが、「オミクロンの親戚のひとつ」と思えばOKです。World Health Organization / Gavi

世界ではどれくらい広がっているの?

WHOによると、2025年4月下旬には、世界で調べられた新型コロナのうちNB.1.8.1が約10.7%を占めました(4週間前は2.5%)。アメリカやヨーロッパ、アジア太平洋で割合が上がりました。米国では5月末ごろ15%が、6月上旬には約37%へ急上昇したとの報道もあります。World Health OrganizationCIDRAP

日本ではどう?

日本でも2025年の春から夏にかけて、NB.1.8.1系統への置き換わりが進みました。NHKでは8月時点で、NB.1.8.1が約28%(同じ系統を含めると約81%)と報じています。夏休みやお盆の人の動きが活発になる時期に患者数・入院数の増加は見られましたが、「重症の割合が増えた」というデータは示されていません。NHK / 埼玉県 / 京都府

症状はこれまでと違うの?

基本的な症状(のどの痛み、咳、発熱、だるさ、鼻水・鼻づまりなど)は、これまでのオミクロンと大きく変わりません。SNSなどで「カミソリで切ったようなのどの痛み」という表現が話題ですが、専門家は「COVIDでよくある症状のひとつで、NB.1.8.1だけの特徴とまでは言えない」と説明しています。Weill Cornell Medicine / ABC News

重症化しやすいの?

WHOとECDCは、NB.1.8.1で「重症の割合が増えた」証拠は見つかっていないと報告しています。入院やICU入室、死亡の割合が上がっているという指標は確認されていません。World Health Organization / ECDC

どうして広がりやすいの?(感染しやすさの理由)

最新の実験では、NB.1.8.1は細胞に入りこむ力(感染性)が、前に多かったLP.8.1より高いことがわかっています。一方で、免疫(ワクチンや過去の感染でできた抗体)をすり抜ける力は、LP.8.1と同じくらいか、少し低下する程度です。つまり「免疫逃れ」よりも「感染しやすさ(細胞にくっつきやすい)」が、広がりの主な理由だと考えられます。The Lancet Infectious Diseases / 東京大学医科学研究所

ワクチンは効くの?

WHOは、現在使われているCOVID‑19ワクチンで、NB.1.8.1に対しても「重症化を防ぐ効果」は期待できるとしています。ECDCも「重症予防効果に大きな影響はない見込み」としています。ワクチンは、例えば高齢者のように比較的免疫力が低下している人ほど接種するメリットが大きいと言えるでしょう。今後も様々な変異株が出てくる中で、ウイルスの持つ危険性(どれだけ重症化しやすいか)によってもワクチン接種がどれだけ推奨されるかは変わってくるでしょう。World Health Organization / ECDC

治療薬は効くの?(パキロビッドパックなど)

第一選択の飲み薬「ニルマトレルビル/リトナビル(パキロビッドパック)」について、NB.1.8.1で特別に効きにくくなるような変化は見つかっていません。点滴のレムデシビルや飲み薬のモルヌピラビルについても、2025年のWHOやIDSAの推奨は従来と同じで、高リスクの外来患者では「発症早期にパキロビッドパックを優先」する方針です(相互作用や腎機能などの確認は必須)。WHO Living Guideline (June 2025) / IDSA / World Health Organization

検査はちゃんと見つけられる?

PCR検査について、NB.1.8.1だから検出できない、という心配は今のところ大きくありません。BioGX社は、多数のNB.1.8.1ゲノムにおいて、自社のPCR検査で問題なく検出できると評価しています。抗原検査でも、NB.1.8.1だけが極端に検出しづらいという公的データは見当たりません。BioGX / ECDC

図とグラフで理解しよう

NB.1.8.1の伝播力(実効再生産数が高い)
図1:NB.1.8.1は既存株(XECやLP.8.1)より高い伝播力(Re)を示します。棒や線が高いほど「広がりやすさ」が大きいイメージです。出典:東京大学医科学研究所
NB.1.8.1の感染性(LP.8.1より高くXECよりは低い)
図2:培養細胞での擬似ウイルス実験。NB.1.8.1はLP.8.1より感染性が高いが、XECよりは低い位置づけ。グラフの高さが「細胞にどれくらい入りやすいか」の目安です。出典:東京大学医科学研究所
日本の平均患者数の推移
図3:日本の平均患者数の推移(夏にかけて増加)。人の移動(お盆・新学期)と重なると上昇しやすい点に注意。出典:NHK
Nimbus(ニンバス)のイメージ
図4:「Nimbus(ニンバス)」という非公式ニックネームは雲の名前に由来。覚えやすい通称ですが、公的管理名はNB.1.8.1です。出典:Gavi

ふだんの生活で気をつけること

体調が悪いときは無理をしないようにしましょう。咳エチケット、手洗い、換気を心がけるようにしましょう。混雑した場所では、特にハイリスクの人はマスクをうまく使い分けるのが有効です。高リスクで陽性になったら、できるだけ早く医療機関に相談をしましょう。ECDC / WHO Living Guideline

まとめ

  • NB.1.8.1(ニンバス)は、オミクロンの新しい子孫。広がりやすさ(感染性)が高く、世界や日本で割合が増えました。World Health Organization / NHK
  • ただし、「重症の割合が上がった」証拠はありません。症状はこれまでのオミクロンとだいたい同じです。ECDC / Weill Cornell Medicine
  • ワクチンの重症予防は期待でき、治療薬(パキロビッドパックなど)も基本方針は変わっていません。検査の「見落とし」が増えたという確かな証拠も今のところありません。World Health Organization / WHO Living Guideline / BioGX

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